勝利への飢えがレベルズを上回っていた狼軍団 -ROUND1 スーパーラグビー2020-

開幕戦は初めての勝利

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ワールドカップで活躍した選手不在で、今シーズンのヒトコム サンウルブズは大丈夫かな、、、という多くのファンの心配など、今の狼軍団には全く無用であった。ファンが思う以上に選手やコーチ陣はこの試合に賭けていた。タックル一つ観てそれがすぐにわかった。

バックスにはワラビーズがずらりと並ぶメルボルン レベルズから5トライを奪ってみせた。STATSを観てみたい。

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後半最後に怒涛のアタックを受けたことで減ったと思うが、ポゼッションを高く意識したラグビーをやり通すという強い意志がサンウルブズには観られた。レベルズ陣の22mライン手前で最も多くの時間を費やせたことも狙い通りだったはず。

ディフェンスにプライドを感じた

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これまでのサンウルブズはスコッドがコロコロ変わってしまう(もちろん日本代表強化が最大の目的だったわけだが)ことで、ディフェンスシステムがROUND終盤になっても熟成せず、あっさりとトライを獲られてしまうシーンが数多くあったが、この小さなスコッドはこの短期間でよくぞ仕上げてきたものだ。日本代表かと見紛うてしまうほどの献身なディフェンスを観せてくれた。特に12番に入ったCTBベン・テオの14タックルはかかせないプレーだった。ペネトレーターとして強く当たっていくシーンもあったが、ディフェンスでの貢献、そしてアタックでも最後の繋ぎを行うなど、これまでのイメージとはだいぶ異なる選手になっていたように思えた。そして両フランカーFLブレンドン・オコナーFL布巻峻介は二人で17タックル、5つのターンオーバーをやってみせた。布巻はさすがの安定したプレーを観せてくれたし、オコナーも注目して観るのは初めての選手だったが、非常にアグレッシブで日本のファンが好きになってしまう選手だろう。

チーム全体に言えるのは、常に次のプレーへの準備をかかさない、ハードワークへの意識の高さ。終盤、レベルズがフィジカルでブレイクダウンを制しようとする場面でも、人数をかけて必至に耐えている姿は、この試合へのモチベーションが、レベルズとサンウルブズとでは全く異なることが滲み出ていた。

アタックにもエッジが立ってる

個人の能力で突破を試みるレベルズ。もちろんNo.8ナイサラニやWTBコロインベテ、FBハイレットペティは想像通り強烈だった。が、粘りのディフェンスで充分封じることができた。サンウルブズのアタックはチーム全体での準備がよく観えたアタックだった。崩されるケースもあったスクラムも後半には安定し、ラインアウトLOマイケル・ストーバークが10本成功させてみせるなど、セットプレーが安定し、そこからはハーフ団SHルディー・ペイジSOガース・エイプリルが相手のプレッシャーを受けることなく、ゲームマネジメントできていたように観えた。飛ばしパスも1本程度しか記憶にないが、とにかく小さく速く繋ぐ。手渡しもあったし、味方の腕の中からボールを奪って走る場面もあった。レベルズと比較しても、ディフェンス突破回数はNo.8ナイサラニが8回、FBハイレットペティが6回、WTBコロインベテが5回に対し、サンウルブズはCTBテオとSOエイプリルが3回と、アタックの種が異なることがよくわかる。

らしさという意味では、前半のラインアウトモールでのきれいなモール、そしてバックス陣の躊躇無い参加が上げられる。さらにWTBシオサイア・フィフィタを縦に入れてNo.8ナイサラニ他複数のレベルズディフェンスを巻き込んだところで反対サイドに出して、WTBタウタラタシ・タシのトライ。これなどは沢木敬介コーチングコーディネーターが考えた戦術だろう。名前も特徴的だが何となくひょうきんな表情を観せてくれたタシ。人気者になっていきそうなキャラクターだ。

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そして後半59分、SHペイジの怪我で入ったSH齋藤直人がやはり観せてくれた。安定したスクラムからNo.8ジェイク・シャッツが持ち出しSH齋藤へ、そこからデコイを使いつつSOエイプリルへ矢のようなパス。あとは斜めに走るだけでトライラインを超えてみせた。準備したプレーを高い精度でやってのけてくれた。

齋藤らしさが出たのはこれだけではない。後半76分、サンウルブズ陣内深くに入り込まれ、FBハイレットペティがタックルを受けながらも19番LOルーク・ジョーンズへの決定的なパスが渡りかけた瞬間、齋藤のタックルでノックオン。ここで一本獲られたら逆転への可能性が生まれる、そんなモメンタムを良く理解している、齋藤らしい危機管理能力の表れだ。そこからは時間いっぱい、トライライン寸前でのシビレルキープを観せてくれた。

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一方のレベルズは、No.8ナイサラニの強さ、FBハイレットペティの巧みさは充分に観えた。WTBコロインベテがボールを持った時の恐怖も感じた。これらタレントをどう活かすのかが今後の課題となるだろう。オーストラリアメディアからも、レベルズは振り出しに戻れ、余裕を持ってる時間など無いぞ、とのご指摘を受けてしまいました。

そう言えば、コロインベテとテオとのマッチアップだけを観ると、ラグビーリーグの様相を呈してましたね。違う迫力を感じました。

観客も入っていた

プレビューを書いていた時点では観客数が本当に心配だった。

映像を観て埋まり具合に驚いた。ブルーズ対チーフスの開幕戦が行われたイーデンパークとそのまま比べることはできないが、遜色ない観客の入りだったろう。報道では10,426人の観衆が入ったようだ。

これからの成熟次第では

クルセイダーズのようなチームはともかく、開幕当初はどこも雑なプレーが多い。今日のレベルズもミスが多く、本来の力が出し切れてはいなかった。そんな中でサンウルブズの精度は予想以上に高かった。大久保HC、沢木CCらのコーチングは見事だ。ROUND2はBYE、ROUND3では秩父宮でチーフスを迎え撃つ。ブルーズとの開幕戦では2011年大会の優勝メンバー、SOアーロン・クルーデンが貫禄を観せていたチーフスはレベルズよりも確実に仕上がっている。2週間という期間、そして秩父宮でのホームアドバンテージを活かして、チームの成熟度を上げ、強みを磨き、チーフスにチャレンジしたい。コーチ陣にもジェイミー・ジョセフの次に日本代表を率いる候補となるべく、この一年を貴重なものとして欲しい。

プレースタイルはもちろんのこと、どこの国にも属さない、ダイバーシティ豊かなオリジナリティを確立し、最後の年にその存在意義を遺憾なく見せつけて欲しい。

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