ピーキングに優る常勝軍団 -関東大学対抗戦 早稲田 v 帝京-

9シーズンぶりに早稲田が雪辱を果たしてくれた。もちろん嬉しかったわけだが、試合後の帝京大学メンバーの落ち着き払った様子がなにより印象的だった。この常勝軍団はピーキングが良くわかっているのである。大学選手権決勝戦への仕上げ方が、スタッフだけでなく、選手一人ひとりに染み込んでいることがよくわかった。

WTB尾﨑泰雅、FB奥村翔がボールを持つと非常に危険な時間帯となった。前半にトライを取ったSO北村将大からのループプレーも見事であった。奥村のプレースキックがもうひとつふたつ入っていれば帝京が競り勝っていた。

帝京自慢の留学生も、例年に違わず強烈である。リザーブから入ったNo.8リッチモンド・トンガタマ、188cm/129kgとのことで、既に体格はワールドクラスである。(ちなみに、イングランド代表No.8ビリー・ヴニポラが188cm/126kg)

留学生についてはわたし自身も10年前にはいろいろと思うところはあったが、ツイ・ヘンドリックが日本代表として素晴らしいプレーを見せてくれてからは、一切偏見は持たなくなった。というより、むしろ日本でプレーしてくれてありがとう、と言いたい。慶應が留学生を受け入れ始めたが、他の伝統校と呼ばれる大学も、ダイバーシティのこの時代、門戸を開くべきだと思います。

さて勝利した早稲田。ハーフ団キャプテンSH齋藤直人、SO岸岡智樹はこの試合でも機能していた。わたしが記憶している限りでは、SH矢富、SO曽我部のハーフ団を思い出させてくれる。齋藤の危機管理能力の高さ。岸岡の落ち着き払ったキッキングゲームのマネジメント。どちらも秀逸であった。齋藤は既にウルフパックを経験しているが、岸岡も体をもう少し作り上げていけば日本代表SOの層をまた一枚上乗せしてくれる存在になる。あくまで個人的な見解でしかないが、岸岡のプレースタイルがどうしてもアイルランド代表SOジョナサン・セクストンと被る。ボールを抱きしめるのではなく両手で掴んでのプレー、斜めへのラン、もらってからのパスの姿勢、などなど。J SPORTS解説の藤島さんが仰っていたが、岸岡は速く走れるが、時々しかそのスピードを使わず、ゆったりとプレーしている。このあたりも、足が速いわけではないセクストンと類似している。後半終了間際だったと記憶しているが、立ち止まってパスをしていたシーンもあった。

 

ワールドカップで明らかになったが、あのクラスであっても、快勝した次の試合はパフォーマンスが落ちる。ニュージーランドしかり、イングランドしかり、である。敗れた帝京はピーキングのステップでしかない。勝利した早稲田は次は慶應・明治との、星取表とは違った次元のザ・テストマッチが続く。両校ともに良いモチベーションのまま、大学選手権に入れるだろう。